口とサルコペニアについて

 「サルコペニア」という言葉をご存知でしょうか?

サルコペニアは、加齢に伴う筋肉量の低下、すべての筋肉量・筋力・身体機能の低下を意味し、サルコ=筋肉、ぺニア=減少というギリシャ語を組み合わせた言葉で、筋肉減少症とも呼ばれています。

原因としては、多くは加齢に伴って起こり、それを原発性(一時性)サルコペニアといいます。その他で生じるものは二次性とされ、これは寝たきりや不活性な生活スタイル(運動不足)悪性腫瘍・感染症などの疾患、手術の侵襲で起こるもの、さらには、食事を十分にとることが出来ず栄養障害に起因するものが含まれます。

全身の筋肉が低下すれば寝たきりに、口腔におけるサルコペニアが起きれば食べる機能の低下につながります。実際、口の中は筋肉の魂と言えます。加齢とともに、「舌」や「唇」や「頬」などの筋肉も痩せていくのです。

 ≪口との関係≫

口の中の歯や舌、唾液などは「食べる」「飲み込む」ことに必要不可欠です。しかし、歯を失うと栄養を摂取する量も減少するだけでなく、たんぱく質の分解効率の低下によって吸収能力も落ち、その結果、栄養状態は不良に陥りやすくなります。

また、高齢期の摂食・嚥下障害の原因は、脳血管疾患や精神障害、口腔内の病気など多岐にわたりますが、摂食・嚥下に関わる筋肉のサルコペニアも原因の一つです。食べ物を咀嚼する力や、食塊を舌でまとめる力、送り込む力、飲み込む力などが低下して食べ物をうまく飲み込めなくなり、誤嚥性肺炎などのリスクも高くなります。

 《口腔環境と口腔機能》

加齢とともに口の中には変化が現れますが、まず、虫歯や歯周疾患の予防を中心に義歯も含め、しっかりと噛むことにできる口の状態を整えましょう。また、舌やくちびるの筋力を鍛えるなど、口腔機能を維持向上させ、口のサルコペニアを予防することが大切です。健康で、いつまでも自分の口で美味しく食べることを目指しましょう。

 

林歯科医院
歯科衛生士 伊藤小百合