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歯科情報のご提供

骨粗鬆症治療薬と歯科治療って関係あるの?

みなさん、こんにちは!松阪市嬉野にある林歯科医院、歯科医師の濵口です。

みなさんは最近 ”骨粗鬆症” という病気をよく耳にしませんか?

日本は現在高齢化が進み、総務省の発表より2022年10月1日時点で65歳以上の高齢化率が29%、つまり約3人に1人が65歳以上の超高齢化社会になっています。
高齢化に伴い、増加している病気の一つに骨粗鬆症があります。

骨粗鬆症とは、骨の代謝バランスが崩れ、骨形成よりも骨破壊が上回る状態が続き骨がもろくなる病気のことです。
骨粗鬆症治療薬として国内で認められているものは多く存在しています。
代表的な治療薬はボナロン、ボンビバ、ボノテオ、リカルボン、ベネット錠などのビスホスホネート薬、プラリアなどの注射薬があります。

骨粗鬆症治療薬と歯科治療は一体どういう関係があるのでしょうか?
2003年にビスホスホネート治療を受けている骨粗鬆症患者さんに非常に低い頻度ですが難治性の顎骨壊死が発症することが初めて報告されました。
この病気を「骨吸収抑制薬関連顎骨壊死」といいます。
なぜ全身の中で顎の骨にのみ壊死が出てしまうのでしょうか。その原因としては口腔内には感染源として約1000億個以上の常在菌がいて、むし歯や歯周病などを介して顎の骨に炎症が起こりやすいことがあるといわれています。
2003年に骨吸収抑制薬関連顎骨壊死が初めて報告されて以降、歯科では抜歯などの侵襲的歯科治療により、顎の骨は直接口腔内に露出して感染を受けやすいと考えられることから骨粗鬆症治療薬を使用している患者さんの抜歯は基本的に行わないこととされてきました。やむを得ず抜歯が必要な場合でも顎骨壊死のリスクを減らすため、内服薬であれば2〜3ヶ月休薬、プラリアなどの注射後であれば6ヶ月休薬後に抜歯をすることとなっていました。
しかし、骨粗鬆症治療薬を休薬すればその分骨粗鬆症悪化による骨折のリスクは高まります。骨折をして入院すれば、高齢者であれば入院期間が長くなることにより筋力低下などが起こりQOLの低下につながります。高齢者骨折の予防は重要であり、そのためには骨粗鬆症治療薬は治療効果が大きく不可欠です。顎骨壊死も重篤な病気であることから、医科歯科連携が極めて重要であると思います。

かかりつけの整形外科などで骨粗鬆症の治療を受けていたり、骨粗鬆症と診断され治療予定の患者さんは、歯科受診をする際には必ず申告するようにしましょう。
また、お口の中の健康を保つために定期的な歯科受診を心掛けましょう。気になることがあれば、いつでもお気軽にご相談ください。

 

 

 

出典:公益社団法人 日本整形外科学会 「整形外科シリーズ1」
   日本細菌学会 落合邦康(日本大学歯学部)他
   骨吸収抑制薬関連顎骨壊死の病態と管理:顎骨壊死検討委員会ポジションペーパー2016、2023