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歯科情報のご提供

歯を守ることが命を守る!全身の健康と歯のつながり

こんにちは。松阪市の歯医者、林歯科医院の歯科衛生士 谷口です。今回は歯と全身健康との関係についてお話します。

歯周病は、歯を支える歯茎や骨が壊されていく病気で、本人も自覚のないまま重症化していきます。この病気の原因となる歯垢(プラーク)の中にいる歯周病菌が全身に多くの影響を与えることが最近の研究で明らかになってきています。

ではどのような病気と関わりがあるのでしょうか?

誤嚥性肺炎

普通の人では、気管に異物が入ったらせき込みますが、歳をとることによってこの反射が低下すると、誤って気管の中にものが入り込むようになります。こうして細菌が気管を通じて肺に達し、肺炎を起こすことがあり、誤嚥性肺炎と呼ばれています。この誤嚥性肺炎の病巣から歯周病菌が検出されており、歯周病が誤嚥性肺炎を引き起こす可能性があるといわれています。高齢者の肺炎のほとんどがこの誤嚥性肺炎で死因の第6位となっています。

普段からセルフケアにプラスして定期検診でメインテナンスを受けることが、口腔内の細菌を減らし、誤嚥性肺炎のリスクを低くすることを示唆しています。

早産、低体重児出産

日本では妊娠22週から36週6日までの出産を早産と呼んでいます。早産で生まれた赤ちゃんは、新生児集中治療室での治療が必要になり、呼吸障害などが現れやすくなります。

低体重児を出産した女性のお口の中の細菌を調べた研究に、歯の周りの歯茎に歯周病菌が多かったという報告があります。歯周病菌が腫れた歯茎の血管から血液中に入り、それが羊水内に侵入することで、胎児の成長に影響すると考えられており、歯周病は低体重児出産のリスクファクターであるといわれています。

妊娠時はつわりなどで口腔内の細菌が増えてしまいがちです。さらに女性ホルモンが大量に分泌され、歯周病にかかりやすくなり、重症化しがちです。妊娠初期には使える薬も限られてきます。できれば妊娠前に歯周病を治療し、定期検診でメインテナンスを継続することが、早産や低体重児出産のリスクを抑えることになります。もし、歯周病にかかったまま妊娠した場合でも、安定期に入ったら歯科医院で治療することをおすすめします。

糖尿病

インスリンが十分に働かないために、血液中を流れるブドウ糖という糖(血糖)が増えてしまう病気です。高血糖による脱水傾向があるため、口腔内が乾燥して唾液の分泌量が少なくなり、自浄作用が低下して、歯茎に炎症が起きやすくなること、高血糖で免疫力が低下しているため、歯周病菌に対する抵抗力が弱まっていること、さらに、血糖値が高いため歯の組織が破壊されたり、歯の周辺の血行が悪くなったりすることも影響していると考えられています。

また歯周病により歯肉炎などの炎症が起きますが、炎症性物質が多量に分泌されて体内を巡り、インスリンの働きを妨げているとも考えられています。このように糖尿病の人は歯周病になりやすく、歯周病の人は糖尿病を重症化させやすいなど、糖尿病と歯周病は相互に悪影響を与えあっている関係なのです。

現在、糖尿病治療の現場では歯周病を治療することで血糖値をコントロールして糖尿病を改善しようという動きが注目されています。歯垢や歯石を取り除くなどの歯周病治療によって歯周病菌が少なくなり、インスリンの動きを低下させるのを防ぐことになるからです。

認知症

認知症は判断力など認知機能が低下して、今まで通りに日常生活が送れなくなる状態を指します。認知症を引き起こす原因となる病気はたくさんありますが、1番多いのがアルツハイマー型認知症で、全体の70%近くを占めています。歯周病や虫歯などで歯を失うことが認知症に悪影響を与えることが知られていますが、最近の研究では歯周病菌がアルツハイマー型認知症のアミロイドβの蓄積に関与していると考えられています。

歯周病を治療することで認知症の発症や進行を遅らせる可能性があるということです。

最後に

歯周病は初期段階では自覚症状が少なく、気が付かないうちに進行し、手遅れになることが多い病気です。放置したままにしておくと、歯を失うだけでなく、このように全身の健康にも重大な影響を及ぼす可能性があります。

定期的に歯科検診を受け、早期に適切な治療を受けることが大切です。

参考元:「歯の健康寿命を延ばせば健康寿命も延びる ほりうちけいすけ」

歯科衛生士 谷口 こころ