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「顔は人の履歴書」という言葉を聞いたことがありますか？

「歯は健康のバロメーター」として、全身の健康状態を押し測ることができます。

小学生から中学生にかけて、乳歯から永久歯に生え変わって、28本(親知らずを除いて)の永久歯生活が始まります。

人生の年齢を重ねるうちに1本、また1本と歯がなくなっていきます。

歯を失う最大の理由は虫歯と歯周病です。

口の中は細菌も含めておびただしい微生物の住処となっていますが、私たちの食べかすによって栄養には事欠きません。

人間は食べないわけにはいきません。虫歯と歯周病とは一生付き合うことになります。人の体は外界から異物が入ってこないよう、防御機能があって、歯のエナメル質で、歯茎の周りは上皮で保護されています。しかし、細菌によってその防御機能が破られると、エナメル質に侵襲し、歯髄(神経)に炎症を起こし、激痛をもたらします。やがて菌は歯の根の周囲に住みついて増殖しながら慢性の病巣を作ります(歯周病巣感染)。

歯周病も歯茎の周囲に菌が住み着き、この最近の出す抗原が血中に移行して、歯や歯茎と直接関係のない遠い臓器に病気が起こってくることがあります。たとえば、心内膜炎、心筋炎、リウマチ、慢性多発性関節炎、虫垂炎、胆嚢炎、気管支喘息、腎臓炎、眼科疾患などです。

アメリカのある大学教授は歯周病の患者さんは、そうでない人と比べて心臓病になる確率が25％も高く、肺炎などの呼吸器系の病気も多発しています。また、糖尿病や動脈硬化、早産の危険性の高まると警告しています。

寝たきりのお年寄りに原因不明の発熱が続き、いずれ肺炎を起こして亡くなる原因は、虫歯や歯周病の放置と誤嚥(食物が誤って気管に入ること)にあることがわかってきました。

このように、虫歯と歯周病は若者から高齢者まで、ほとんどの人がかかる病気です。歯を磨かなかったからといってすぐに病気になるわけではありませんが、重大な病気にかかるのを防ぐためにも、歯の健康には気を配りましょう。

歯科衛生士　大野