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歯周病は現代病ではない?

こんにちは、三重県松阪市の医療法人尚志会 林歯科医院のスタッフの平岡です。

歯周病というと、現代人に多い生活習慣病のひとつというイメージを持つ方も多いのではないでしょうか。実際に、食生活の乱れやセルフケア不足、加齢などが原因として挙げられることが多く、現代社会ならではの病気と思われがちです。しかし、歯周病の歴史をたどると、実ははるか昔から人類を悩ませてきた病気であることがわかっています。

歯周病はいつからあるの?

日本歯科医師会の資料によると、旧石器時代の早期ネアンデルタール人(エーリングドルフ人)の顎の骨にも、歯周病の痕跡が確認されています。さらに、猿人であるオーストラロピテクス・アフリカーヌスの骨にも歯周病が見つかっているそうです。つまり、人類はかなり昔から歯ぐきや歯を支える骨の病気と付き合ってきたことになります。

なぜ昔の人にも歯周病があったのでしょうか?

その背景には、食生活の変化が関係していると考えられています。火を使うようになり、食べ物を加熱して柔らかくして食べる習慣が広がると、硬いものをしっかり噛む機会が減りました。やわらかい食べ物は歯に付着しやすく、汚れも残りやすいため、歯周病の原因となる細菌が増えやすい環境になったと考えられています。

また、古代エジプトのミイラにも歯周病の痕跡が確認されています。メレンプター王のミイラのX線写真では、歯を支える骨が溶け、歯が抜け落ちたような状態が見られたとされています。身分の高い人ほど症状が重かったことから、美食ややわらかい食事が歯周病を進行させていた可能性も指摘されています。

このように歯周病は、単なる現代病ではなく、食習慣とともに進化してきた病気なのです。

歯周病は人間だけの病気?

歯周病は人間だけでなく、犬にも歯周病は起こります。日本歯科医師会の資料では、犬は「むし歯にはなりにくいが、歯周病にはなりやすい」と紹介されています。犬は本来肉食動物であり、42本の歯を持っていますが、現代ではペットフードややわらかい食事、人間のおやつなどを食べる機会も増えています。その結果、歯垢や歯石がたまりやすくなり、歯周病のリスクが高まるのです。

特に高齢の犬では、口臭が強くなったり、歯ぐきから出血したり、歯がぐらつくこともあります。これは人間の歯周病とよく似た症状です。つまり、食生活の変化と長寿化によって、犬も人間と同じようにお口の健康管理が必要になってきているのです。

最後に

人間も犬も、歯周病は「歳を取ったら仕方ない病気」ではありません。毎日の歯みがきや定期的なケアによって予防できる病気です。人間なら歯科医院での定期検診、犬なら動物病院での口腔チェックや歯みがき習慣が大切です。

旧石器時代から続く歯周病との戦いは、今もなお続いています。しかし、現代には正しい知識と予防法があります。人もペットも、健康で長く食事を楽しむために、今日からお口のケアを見直してみてはいかがでしょうか。

スタッフ 平岡みづほ

参考文献

日本歯科医師会「テーマパーク8020 歯周病は旧石器時代から」

日本歯科医師会「テーマパーク8020 動物の歯」

参考URL

https://www.jda.or.jp/park/knowledge/index_08.html#1

https://www.jda.or.jp/park/function/animalteeth03.html