TOPICS

患者様に向けた
歯科情報のご提供

ブルーラジカルはどんな人に向いている?歯周病専門医が適応と注意点を解説

「ブルーラジカルは、自分の歯周病にも向いているのだろうか」「重度の歯周病なら、誰でも受けられる治療なのだろうか」と気になっている方もいらっしゃると思います。

ブルーラジカルP-01は、進行した歯周病に対して使用する歯周病治療用の医療機器です。歯周ポケット内を殺菌しながら歯石などの沈着物を取り除けることが特徴で、歯ぐきの切開を伴わない治療の選択肢としても注目されています。

ブルーラジカル治療は、健康保険が適用されない自費診療です。治療を受けるかどうかは、検査によって適応を確認し、治療内容や費用について説明を受けたうえで検討します。

ただし、歯周病が進行していれば、必ずブルーラジカル治療を受けられるわけではありません。歯周ポケットの深さや歯を支える骨の状態に加え、全身状態、服薬状況、治療後の管理を続けられるかどうかまで確認したうえで適応を判断します。

この記事では、ブルーラジカルが向いている可能性のある方、治療前に必要な検査、ご案内できないケース、治療後の注意点について、林歯科医院の歯周病専門医がわかりやすく解説します。

ブルーラジカルはどんな人に向いている?

ブルーラジカルP-01は、歯周病の中でも、歯を支える組織の破壊が進んだ歯周炎ステージⅢ・Ⅳに該当する方を対象として承認された医療機器です。

そのため、進行した歯周病と診断された方は、治療を検討できる可能性があります。ただし、ステージだけで適応が決まるものではありません。現在の炎症の強さ、歯を支える骨の残り方、歯の保存が見込めるかなどを一つずつ確認する必要があります。

向いている可能性がある4つのケース

ブルーラジカルは、主に次のような方にとって検討対象となる治療です。

ブルーラジカルが向いている可能性のある方

  • 進行した歯周病と診断されている
  • 歯周基本治療後も深い歯周ポケットや出血が残っている
  • 歯ぐきの切開を伴わない治療方法も含めて検討したい
  • 治療後もセルフケアとメインテナンスを継続できる

たとえば、歯石除去やブラッシング指導などの歯周基本治療を行っても、深い歯周ポケットや出血が残る場合には、次の治療方法を検討します。ブルーラジカルも、その選択肢の一つです。

また、歯ぐきの切開や縫合を伴う歯周外科治療に不安がある方に対して、状態によっては外科処置を行わずに治療を進められることがあります。ただし、外科処置を避けたいという希望だけで、治療方法を決めることはできません。歯周組織の状態によっては、歯周外科治療や歯周組織再生療法の方が適しているケースもあります。

自覚症状だけでは治療の適応を判断できません

歯ぐきから血が出る、腫れている、膿が出る、歯がぐらつく。このような症状は歯周病のサインですが、症状の強さと歯周組織の破壊の程度が一致するとは限りません。

歯周病は痛みが少ないまま進行することがあります。反対に、強い腫れや痛みがあっても、一時的な炎症が主な原因で、歯を支える骨が大きく失われていない場合もあります。

まず知っておきたいブルーラジカルP-01の仕組み

ブルーラジカルP-01は、歯周ポケット内の殺菌と、歯石などの沈着物を取り除くスケーリングを同時に行う医療機器です。一般的に「レーザー治療」と紹介されることもありますが、青色レーザーを当てるだけの治療ではありません。

殺菌とスケーリングを同時に行う歯周病治療

ブルーラジカルでは、専用の3%過酸化水素水に青色レーザーを照射し、「ヒドロキシルラジカル」と呼ばれる反応性の高い物質を発生させます。これによって歯周ポケットの底部を殺菌しながら、超音波振動を用いて歯根の表面に付着した歯石やプラークなどを取り除きます。

つまり、細菌への作用と、汚れを物理的に除去する処置を同時に行うことが、この治療の大きな特徴です。

歯周病の原因は、歯周ポケット内に形成される細菌のかたまりです。歯周ポケットが深くなるほど器具が届きにくくなり、歯石や細菌を十分に取り除くことが難しくなります。ブルーラジカルは、このような進行した歯周炎に対する治療の幅を広げる医療機器として位置づけられています。

ただし、殺菌を行えば失われた骨が元に戻る、あるいは歯の揺れが必ず治まるというものではありません。治療の目的と限界を理解し、ほかの歯周病治療と組み合わせて考える必要があります。

承認上の対象は歯周炎ステージⅢ・Ⅳ

ブルーラジカルP-01は、歯周炎ステージⅢまたはステージⅣに該当する患者さまの治療において、歯石などの沈着物の除去と歯周ポケット底部の殺菌を目的に使用する医療機器として承認されています。

歯周炎の「ステージ」は、歯を支える骨がどの程度失われているか、歯周ポケットがどのくらい深いか、歯を失っているか、噛み合わせや咀嚼機能に影響が出ているかなどをもとに評価します。

ステージⅢ・Ⅳは、歯周組織の破壊が進み、複雑な治療が必要となる段階です。ただし、「歯周ポケットが何mmなら必ずステージⅢ」と一つの数値だけで決めるものではありません。お口全体を検査し、複数の所見を組み合わせて診断します。

初期の歯肉炎や軽度の歯周炎では、ブラッシング指導や歯石除去などの歯周基本治療によって改善を目指すことが基本です。ブルーラジカルという治療名だけで選ぶのではなく、現在の進行度に合った治療を受けることが重要です。

歯周病専門医が適応判断で確認するポイント

ブルーラジカルを使用できるかどうかだけを確認しても、十分な診断とはいえません。その歯を残せる見込みがあるのか、治療後に安定した状態を維持できるのか、ほかに適した治療方法がないかまで検討します。

林歯科医院では、歯周病の進行度とお口全体の状態を確認し、治療の目的を明確にしたうえで適応を判断しています。

歯周ポケットの深さ・出血・炎症の状態

まず行うのが、歯と歯ぐきの間にある歯周ポケットの検査です。専用の器具を使って深さを測り、検査時の出血、膿の有無、歯の揺れなどを確認します。

歯周ポケットが深い部位は、歯ブラシが届きにくく、歯周病の原因となる細菌がたまりやすい状態です。出血がある場合には、歯ぐきの中で炎症が続いている可能性があります。歯石やプラークの付着量も確認し、どこに治療が必要なのかを把握します。

この検査は、気になる1本だけではなく、基本的にお口全体に対して行います。歯周病は複数の歯に広がることがあるため、部分的な症状だけでなく、炎症の分布を見る必要があるからです。

レントゲンで確認する歯槽骨と歯根の状態

歯周病が進行すると、歯を支えている歯槽骨が少しずつ失われます。骨の状態は歯ぐきの外から見ただけではわからないため、レントゲンや必要に応じた画像検査で確認します。

確認するのは、骨がどの程度残っているかだけではありません。骨が水平に減っているのか、歯の周囲に深い欠損があるのか、歯根の形や長さはどうか、根の先に別の病変がないかなどを詳しく見ていきます。

同じように歯がぐらついていても、炎症を抑えることで安定が見込める歯と、支えが少なく保存が難しい歯があります。反対に、見た目には症状が目立たなくても、画像上では骨吸収が広がっている場合もあります。歯を残せる可能性まで含めて判断するには、歯周組織検査と画像検査の両方が必要です。

全身状態・服薬・これまでの治療歴

治療の適応を判断するときは、お口の中だけでなく全身状態も確認します。持病の有無、現在使用している薬、アレルギー、医療機器の使用状況、妊娠の可能性などは、治療方法や麻酔の可否に関わる大切な情報です。

これまでに受けた歯周病治療の内容も確認します。歯石除去をどの範囲まで行ったのか、治療後に炎症がどのように変化したのか、通院が中断していないかによって、次に必要な治療は異なります。

喫煙習慣や糖尿病など、歯周病の進行や治療後の安定に影響する要因がある場合には、その管理も含めて治療計画を立てます。ブルーラジカルを行うかどうかを、その場で機器だけを見て決めるものではありません。

ブルーラジカル治療をご案内できないケース

ブルーラジカルは、すべての方に行える治療ではありません。医療機器や薬剤の使用に関する安全面の確認に加え、現在の歯の状態や通院の継続が可能かどうかも含めて判断します。

全身状態などから治療できないことがあります

林歯科医院では、安全に治療を行うため、次に該当する方にはブルーラジカル治療をご案内していません。

当院でブルーラジカル治療をご案内できないケース

  • 麻酔ができない方
  • ペースメーカーを使用している方
  • 無カタラーゼ症の方
  • 光線過敏症の方
  • 妊娠中、または妊娠の可能性がある方
  • 治療途中で通院が難しくなる可能性がある方

持病や服薬があるからといって、自己判断で治療を諦める必要はありません。病名、使用している薬、治療中の医療機関などを受診時にお伝えください。必要に応じて主治医と連携し、別の治療方法を含めて検討します。

別の治療方法が適している場合もあります

ブルーラジカルを使用できる全身状態であっても、歯の状態によっては別の治療方法を優先します。

たとえば、歯の根が割れている、歯ぐきより深い位置までむし歯が進んでいる、歯を支える骨がほとんど残っていないといった場合には、歯周ポケット内を殺菌して歯石を取り除いても、長期的な保存が難しいことがあります。

一方、歯周組織の欠損の形によっては、失われた組織の回復を目指す歯周組織再生療法が適していることもあります。歯周基本治療を続けることで改善が見込める場合や、歯ぐきを開いて患部を確認する歯周外科治療が必要な場合もあります。

重度歯周病だからブルーラジカルを行うのではなく、その歯をどのような方法で治療することが適切かを考えることが大切です。治療によって得られるメリットだけでなく、限界や別の選択肢も確認したうえで治療方針を決めます。

ブルーラジカルだけで歯周病治療が完結するとは限りません

ブルーラジカルは、1回受ければ歯周病が治り、その後は何もしなくてよい治療ではありません。歯周病の原因は、歯周ポケット内だけでなく、お口全体のプラーク、磨き方、噛み合わせ、喫煙や全身状態など複数の要因と関係しています。

歯周基本治療を省略するための治療ではありません

歯周病治療の土台となるのが、歯周基本治療です。歯磨きの状態を確認し、患者さまに合ったブラッシング方法をお伝えします。歯の表面や歯ぐきの中に付着した歯石を取り除き、炎症の原因を減らしていきます。

歯周基本治療を行うと、歯ぐきの腫れや出血が落ち着き、歯周ポケットが浅くなることがあります。そこで改めて検査を行い、改善した部位と炎症が残っている部位を確認します。この再評価によって、ブルーラジカルを含む次の治療が必要かどうかを判断しやすくなります。

お口の中にプラークが多く残ったままでは、処置した部位にも再び細菌が増えやすくなります。ブルーラジカルを行う場合にも、毎日のセルフケアと歯周基本治療は欠かせません。

歯周病治療におけるそれぞれの役割

歯周病の治療方法には、それぞれ異なる目的があります。どれか一つが常に優れているのではなく、検査結果と治療後の反応を見ながら必要な方法を組み合わせます。

治療方法 主な目的 検討される場面
歯周基本治療 プラークや歯石を取り除き、炎症の原因を減らす 歯周病治療の基本として、進行度にかかわらず検討する
ブルーラジカル治療 歯石などの沈着物の除去と歯周ポケット底部の殺菌を同時に行う 歯周炎ステージⅢ・Ⅳに該当し、検査で適応があると判断した場合
歯周外科治療 歯ぐきを開き、深い部分の歯石や感染した組織を取り除く 基本治療後も深い歯周ポケットが残り、患部を直接確認する必要がある場合
歯周組織再生療法 失われた歯周組織の回復を目指す 骨の失われ方などが再生療法の適応条件に合う場合

ブルーラジカルは、殺菌とスケーリングを行う治療です。すでに失われた歯槽骨や歯周組織そのものを再生させる治療ではありません。骨の欠損状態によって再生療法を検討することもあれば、歯の保存が難しく抜歯が必要になることもあります。

ブルーラジカルと歯周組織再生療法を組み合わせることもあります

症状や歯槽骨の失われ方によっては、ブルーラジカル治療と歯周組織再生療法を段階的に組み合わせることがあります。

まずブルーラジカルによって歯周ポケット内の殺菌と歯石の除去を行い、炎症の改善を図ります。その後、治療部位の状態を再評価し、再生療法の適応がある場合には、歯周組織再生療法によって失われた歯槽骨や歯周組織の再生を目指します。

このように、殺菌と炎症の改善を目指すブルーラジカルと、失われた組織の再生を目指す治療を組み合わせるコンビネーション治療が、有効な選択肢となる場合があります。ただし、すべての方に行えるわけではありません。骨の欠損の形、歯の保存が見込めるかどうか、全身状態などを確認し、治療の順序や必要性を判断します。

治療方法の名称だけで選ぶのではなく、「炎症を抑える」「歯を残す」「噛める状態を安定させる」など、何を目的に行う治療なのかを理解することが大切です。

治療後のセルフケアとメインテナンスが重要です

ブルーラジカル治療によって歯周ポケット内を殺菌し、歯石などを取り除いても、歯周病の原因となるプラークは毎日付着します。治療後の清掃や通院が不十分であれば、同じ部位で再び炎症が起こる可能性があります。

治療後は、歯周ポケットの深さ、検査時の出血、歯の揺れ、磨き残しなどを再評価します。治療した部位がどのように変化したかを確認し、必要に応じて次の処置やメインテナンスの間隔を決めます。

ご自宅では、歯と歯ぐきの境目を意識して磨き、歯ブラシだけでは届きにくい部分にフロスや歯間ブラシを使用します。ただし、歯間ブラシのサイズや当て方が合っていないと、汚れを十分に落とせなかったり、歯ぐきを傷つけたりすることがあります。歯科医院でお口の状態に合った方法を確認しましょう。

また、治療した歯だけを管理すればよいわけではありません。ほかの部位に炎症が残っていると、お口全体の細菌環境が安定しにくくなります。歯周病の広がりを確認し、必要な部位の治療と定期的なクリーニングを続けることが重要です。

歯周病は、症状が落ち着いてからも管理が必要な病気です。痛みや出血がなくなったことだけで通院を中断せず、定期的に状態を確認していきましょう。

ブルーラジカル治療についてよくある質問

ブルーラジカルの適応や治療後の経過について、患者さまからご相談いただくことの多い質問をまとめました。

Q. 初期の歯周病でもブルーラジカルを受けられますか?
A.

ブルーラジカルP-01の承認上の対象は、歯周炎ステージⅢ・Ⅳです。初期の歯肉炎や軽度の歯周炎では、まずブラッシング指導や歯石除去などの歯周基本治療を行います。進行度は症状だけではわからないため、歯周組織検査と画像検査を受けて確認しましょう。

Q. 抜歯と言われた歯もブルーラジカルで残せますか?
A.

ブルーラジカルを行えば、必ず歯を残せるわけではありません。歯槽骨の残り方、歯の揺れ、歯根の状態、感染の範囲、噛み合わせなどを調べたうえで判断します。保存が難しい場合には、無理に残すことによる周囲への影響も含め、別の治療方法をご説明します。

Q. ブルーラジカル治療は痛いですか?
A.

治療時には局所麻酔を使用します。治療中の痛みには配慮しますが、炎症の程度や歯周ポケットの状態によって、刺激や治療後の違和感には個人差があります。痛みに不安がある方は、治療前に遠慮なくお伝えください。

Q. ブルーラジカル治療は1回で終わりますか?
A.

治療する歯の本数や部位、歯周病の進行度によって、必要な時間や回数は異なります。処置が1回で終わる部位でも、その後の再評価や経過観察、メインテナンスは必要です。検査後に治療計画と通院の目安をご説明します。

まとめ|ブルーラジカルの適応は詳しい検査を受けて判断しましょう

ブルーラジカルP-01は、歯周炎ステージⅢ・Ⅳに該当する方に対し、歯石などの沈着物の除去と歯周ポケット底部の殺菌を同時に行う医療機器です。進行した歯周病に対する新しい選択肢ですが、重度歯周病の方全員に適しているわけではありません。なお、ブルーラジカル治療は保険適用外の自費診療です。

ブルーラジカルが向いているかを判断するには、歯周ポケット、歯槽骨、歯根、歯の保存可能性、全身状態まで確認することが大切です。状態によっては、歯周基本治療や歯周外科治療、歯周組織再生療法など、別の方法が適していることもあります。症状によっては、ブルーラジカルで殺菌と炎症の改善を図ったあとに歯周組織再生療法を行うなど、複数の治療を組み合わせる場合もあります。

林歯科医院では、日本歯周病学会の歯周病専門医・指導医が、現在の進行度とお口全体の状態を確認し、ブルーラジカルの適応を判断しています。治療のメリットだけでなく、注意点やほかの選択肢についてもご説明します。

「自分はブルーラジカルを受けられるのか知りたい」「歯周病が進行していると言われた」という方は、まずは詳しい検査を受けて、現在の状態を確認することから始めましょう。

この記事の執筆・監修者

歯科医師:林 尚史

林歯科医院 院長 林尚史

<経歴>

  • 1988年 福岡県立九州歯科大学 卒業
  • 1992年 林歯科医院 開設

<資格・所属学会>

▶︎ 院長のプロフィールはこちら