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「指しゃぶり」や「爪噛み」の癖は何歳までに止めさせるように指導すべき?

指しゃぶり

指しゃぶりは胎生15〜20週を過ぎる頃からすでに始まり、胎生期の指しゃぶりは出生後すぐに母乳を吸うための準備とも言われています。黒須によると¹図1のように生後次第に増加し、2歳頃をピークに減少し、5歳ではほとんど消失するものの、学童期にも継続的に指しゃぶりを行うものや爪噛みに移行するものもみられます。

 

原因としては

①吸啜反射が習慣化した

②精神的緊張の緩和

③心理的欲求不満の代償

④小児性欲の表徴

などが挙げられます。

 

指しゃぶりによる不正咬合

指しゃぶりによる不正咬合は、その指の入る向きや指の種類、くわえるだけなのか強く吸引するのか、癖の継続した期間、頻度などによって不正咬合の種類、程度がまちまちです。最も多い親指の指しゃぶりでは親指の腹を上顎に向け、指をしゃぶるため、上顎前歯の前への傾斜、下顎前歯の裏側への傾斜、下顎後退や開咬(上下前歯が噛み合わない)がみられ、さらに吸引による上顎歯列の狭窄が起こります。また、1本もしくは2本の指を下向きに入れると反対咬合(受け口)が起こります。

 

 

指しゃぶりに対する見解

指しゃぶりに対する考え方は、専門領域の違いにより異なります。

一般的に小児科医や保育関係者は指しゃぶりに対し寛容で、小児の心理状態を考慮して『無理にやめさせないほうが良い』という考え方が多く。歯並びや口腔機能への影響をあまり考慮しない傾向があります。また臨床心理士は年齢が高くなっても継続する指しゃぶりでは、子供の心理面からの問題行動の一つとして捉えています。それに対し歯科医師は不正咬合や発音、咀嚼などの機能異常、顔貌への悪影響を考慮し、幼児期後半では指しゃぶりを止めるように指導することが多いのです。

 

 

指しゃぶりへの対応

指しゃぶりによる顎骨の変形の程度や癖を除去した後の経過は、その癖の継続した期間や頻度、吸引の強さなどに影響されます。一般に3〜4歳ごろまでに指しゃぶりを中断すれば、自然治癒が起こりやすいとされています。4〜5歳を過ぎても続けていると、舌を出して唾を飲み込む癖(舌突出癖)に移行して癖の除去が難しくなってしまったり、顎骨の変形が重度になり自然治癒が難しくなります。ですから、その顎骨の変形の度合いにより吸指癖をやめるよう指導する時期に幅があるものの、概ね4歳までに中止させるよう指導すべきでしょう。

 

 

指しゃぶりへの治療法としては①心理療法、②薬物療法、③歯科的療法がありますが、ここでは一般に歯科医師が直接行う歯科的療法について取り上げたいと思います。

 

歯科的療法

小児への指導だけでは就寝前や就寝中の指しゃぶりが残ってしまうことがよくあります。そのような場合にはバイターストップ(爪に塗る苦味のあるマニキュアのような指吸防止製品)、フィンガーガード、指サックなどにより指しゃぶりを取り除きます。また舌突出癖に移行してしまって開咬(上下前歯が噛み合わない癖)が自然治癒しない場合は、簡単な矯正装置(タンクガード)を装着するなどが一般的です。

また長期の開咬(上下前歯が噛み合わない)により舌突出癖が見られる場合や口唇の閉鎖不全が見られる場合には、筋機能訓練を取り入れることもあります。代表的なものとして舌突出癖には舌の挙上を助けるためにポッピングが、口輪筋の訓練にはボタンプルなどが用いられます。