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患者様に向けた
歯科情報のご提供

身元確認における歯科医師としての役割

みなさんこんにちは!三重県松阪市の歯医者、林歯科医院歯科医師の濵口です。

先日神奈川歯科大学で行われた日本公益社団法人日本厚生協会主催の歯科身元研修会に参加してきました。
講義視聴後にマネキン実習でのデンタルチャート作成やデンタルX線写真撮影、口腔内写真撮影など大変貴重な経験をすることができました。
みなさんご存知かと思いますが、日本は地震大国であり1980〜2000年の間に発生したマグニチュード5.5以上の地震の年平均発生頻度が1.14回/年となっています。つまり、日本ではM5.5以上の地震がほぼ年に1回以上発生しているということになります。日本の国土面積は世界のわずか0.07%ですが世界の全火山の7%は日本にあり、そして世界の全地震の10%は日本で発生していると言われています。
最近では今年の元旦に石川県で能登半島地震が発生しています。三重県を始め中部地方、近畿地方では数十年前から言われている南海トラフ大地震への災害対策が必要不可欠になってくると思います。
大規模災害が発生した場合、迅速な身元確認が必要になります。

身元確認を行う時の重要な資料には歯の所見、指紋、DNA鑑定があります。身元確認が長期化するような場合では顔貌、指紋、着衣などから身元を確認することは不可能なことが多く、所持品や装着品では確実な証拠とはいえないことから歯科所見が信頼できる証拠となります。もちろんDNA鑑定により個人識別が可能なことも多いですが、DNA鑑定は時間と費用の負担が大きいというデメリットがあります。歯は人間の身体の中で最も硬度に優れ、高温にも耐えうる組織で物理的化学的にも安定しています。大規模災害などで大勢の方が犠牲になるような場合には生前歯科データと死後歯科データからスクリーニングを行うことが可能です。

東日本大震災では被災地の県警に協力して地元の歯科医師が身元確認作業を行いました。また、警察庁から日本歯科医師会への要請に基づいて全国の歯科医師会に出動するよう要請したところ1000名を超える応募があったそうです。
身元確認を行い、一刻も早くご遺族の元へご遺体をお返しすることは言うまでもありませんが、身元確認の遅れが感染症等の二次災害につながる可能性もあるため作業の迅速化が要求されます。身元確認における歯科医師の役割は非常に重要であると私は考えています。

歯科医師  濵口 桂