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歯科情報のご提供

感染性心内膜炎

今回は感染性心内膜炎についてお話ししたいと思います。

感染性心内膜炎とは、心臓の心内膜という膜に細菌を含んだ疣贅(菌が凝集したもの)を形成し、持続的に菌血症を生じることにより、心症状以外にも血管塞栓などによる多彩な症状を呈する全身性敗血症性疾患です。

抗菌薬や手術などの治療が適切に行われないと死に至ることもある病気です。

感染性心内膜炎の発症率は人口100万人あたり年間10〜50例ほどで50〜60代の男性に多いとされ、歯科処置に起因すると考えられるものは約35%という報告もあります。

人口弁置換患者、感染性心内膜炎の既往がある患者、先天性心疾患患者、人工ペースメーカーあるいはICD(植え込み式除細動器)植え込み患者、長期にわたる中心静脈カテーテル留置患者などは感染性心内膜炎のリスクが高いとされています。

通常は抜歯などの歯科治療により菌血症が生じても、体の免疫細胞によりすぐに除去される仕組みですが、感染性心内膜炎のリスクの高い患者ではこの一過性の敗血症が発症の誘因となります。

これらのハイリスク患者の歯科処置(抜歯、インプラントなど)に対しては、処置前に抗菌薬の予防投与が推奨されています。

またそれとともに、口の中を衛生的に保つことが重要になります。そのために定期的な歯科検診、電動歯ブラシを含めた正しい口腔内ケアを行うことが大切です。

感染性心内膜炎に関して不安に思われている方、ご不明な点などお気軽に当院にてご相談ください。

 

引用文献 古森秀孝:こんな患者さんが歯科にきたときは?

 

歯科医師 藤村