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患者様に向けた
歯科情報のご提供

−1歳からの虫歯予防

虫歯はお母さんから子供にうつると言われています。

いったいどういことなのでしょうか。

1、虫歯は虫歯菌の感染と生活習慣によって起こると考えられています。

虫歯を虫歯菌の感染症と考えれば、虫歯(ミュータンス連鎖球菌)の感染症対策が必要になります。

虫歯を生活習慣病と考えれば、歯磨き習慣、食生活習慣の改善が必要になります。

 

2、虫歯はどうしてできるのでしょうか。

虫歯の主要な原因菌はミュータンス連鎖球菌、それを活性化させるのが砂糖です。

その理由は?

・虫歯菌は歯の表面に強固に付着しやすい

・虫歯菌は砂糖を取り込み唾液や水に溶けにくいネバネバした歯垢を作る

・虫歯菌は砂糖を分解して酸を生産し、歯を溶かす

 

3、虫歯菌はどこから感染するのでしょうか。

・虫歯菌は歯が生えていない乳児には感染しません。

・虫歯菌は歯が生え始める生後6ヶ月ごろから感染します。

特に生後19ヶ月(1歳7ヶ月)から31ヶ月(2歳7ヶ月)までの間を『感染の窓』と呼び、この時期は感染リスクが高まり、この時期に悪い菌に多く感染するとその菌が優位になります。周囲の育児に従事している家族の方の口腔内の状態が良好で良い菌が付着するとその後も悪い菌が付着しにくくなります。

 

・感染経路は育児を担当する家族からと考えられています。

①離乳食を与える時期のスプーン

②ミルクの熱さを確かめるために口にした哺乳瓶の乳首

③スキンシップとしての子どもさんへのキス

 

感染を恐れてスキンシップまで避けるのは、お子さんの情緒教育上デメリットが大きすぎます。感染に対して神経質になりすぎるのではなく、お母さんを含めた家族の口腔内の菌の数を減らし、より良い菌の割合が高まるように歯科医院でのプロフェッショナルクリーニングや検診など専門家のサポートを受けましょう。また両親だけでなく祖父母の方の歯周病ケアも重要です。

 

・虫歯菌が母親からうつったという根拠は次のような研究から証明されています。

①母親と子供の虫歯菌の量が一緒

②母親と子供の虫歯菌の血清型とバクテリオシン生産パターンが一致

③母親と子供の虫歯菌のDNA診断で菌種と遺伝子型が一致

 

そのため、家族の虫歯菌の量を減らすことが子供の虫歯予防に重要だと言えます。

 

4、虫歯菌の量を減らすためにはどうしたらいいか。

・砂糖の制限

・細菌が停滞しやすい部分を少なくする

・虫歯の早期治療や歯と詰め物の間に隙間がある場合は早めに治療を受ける

・適切なブラッシングを行い、デンタルフロスを使用する

・フッ素入り歯磨き粉を使用する

・歯科医院でPMTCを受ける

 

虫歯予防には生活習慣を改善することが重要です。

 

5、虫歯菌の量が減ると虫歯になりにくい環境ができます。

・虫歯菌のミュータンス連鎖球菌を悪玉菌とするサリバリウス菌やサンギス菌などの細菌は善玉菌で虫歯を作りません。

・この善玉菌が歯が出てきた時に表面に付着していると、後から悪玉菌のミュータンス連鎖球菌が入ってきても歯面に接近できなくなります。

・逆に悪玉菌が先に付着すると、善玉菌の誌面への付着を妨げます。

・そのため母親から子供に感染する最近の種類が重要な意味を持ちます。

・ミュータンス連鎖球菌の量が少なく、善玉菌を多く持った母親からはその環境が子供にうつりやすく虫歯になりにくい環境になります。

 

6、ホームケアと定期検診の重要性

・家庭での生活習慣が重要ですので、日頃から家族が虫歯菌を少なくする努力をしましょう

・痛みがなくても虫歯は早く治療しましょう

・歯科医院で定期的な歯の掃除(PMTC)や検診、フッ素塗布などを受け、歯の健康を保つため衛生士や歯科医師など専門家のサポートを受けましょう